営業組織の立ち上げチェックリスト|失敗を防ぐ13の判断基準

目次

値引き禁止・分業(THE MODEL)・ターゲット設計・KPI設計まで、初月に固定すべきルールを整理

営業組織は、人数が増えてから整えるものではありません。最初に定めたルールが、営業組織の基準と文化を決めます。
会社が一度定めた基準は、社内で「当たり前」として固定されます。後から基準を修正しようとすると、現場の反発と修正コストが発生します。
本稿では、営業代行会社として自社運営を行う中で、「会社として守ってきて良かった」と判断できたポイントを、
営業組織運営の論点に絞って整理します。

これから営業組織の立ち上げを検討されている方にとって、本稿が判断基準を整理する際の一つの参考になれば幸いです。

1,安く売らないという判断(営業の基本ルール)

安く売るかどうかは、案件単体ではなく組織基準の判断です

「安く売るかどうか」を判断する対象は、目の前の案件だけではありません。会社が判断している対象は、営業組織全体の価格基準です。
一度でも安く売ると、その価格が社内の「当たり前」になります。最初の時点で「安く売らない」をルールとして確定させる必要があります。

なぜ「安く売る」が危険なのか

観点内容
受注のしやすさ価格を下げれば受注しやすくなるため、営業担当者が思考しなくなる
営業の癖値下げして受注する行動が定着し、値下げが標準手段になる
組織への影響「考えて売る」文化が育たず、提案力と再現性が向上しない

会社は、「楽な売り方」が組織の悪い基準として残る点を前提にして、価格基準を設計してください。

BtoBで重要なのは売上ではなく利益率です

BtoBビジネスでは、売上よりも利益率が将来を左右します。利益率を下げると、投資余力と採用余力を失います。

利益率を下げると起きること

影響具体的な問題
採用営業人材を採用できない
投資新しい営業手法・営業ツールを試せなくなる
給与給与水準が上がり続ける市場に追随できなくなる

給与を上げ続けるには、安定した利益率が必要です。値引きの意思決定を営業現場の裁量に置かず、経営判断として固定してください。

最低利益ラインを必ず決めてください

価格交渉のたびに感覚で判断すると、判断が必ずブレます。最初に「断れるライン」を決めてください。

ルール意味
最低利益ラインを設定これ以上は下げない下限を定義します。
案件ごとの判断を禁止感覚での値下げを禁止します。
全員共通ルール誰が売っても基準が同じ状態を作ります。

計算は営業個人に任せないでください

価格判断を営業個人に任せると、次の問題が発生します。

問題内容
計算ミス営業担当者が原価・工数を見落とす
解釈のズレ営業担当者ごとに判断が変わる
責任転嫁営業担当者が「自分はOKだと思った」と説明し、基準が崩れる

価格判断は個人の裁量に任せるのではなく、「仕組み」で統一することを推奨します。

計算はスプレッドシート等で自動判定できる形にし、事務担当が二重チェックできる体制があるとなお安心です。

価格判定フォーマット例

確認入力項目内容
☑️原価人件費・外注費
☑️工数作業時間
☑️必要利益最低利益ライン
☑️提示価格実際の見積金額
☑️判定受注OK/NG(自動)

価格判定フォーマを作成する際のポイント

ポイント考え方
安く売らない組織としての基準を守る
利益率重視将来への投資余力を確保
最低ライン設定断る基準をあらかじめ定義
仕組み化判断のブレを防ぐ

価格を「営業力」ではなく「経営判断」で決めてください。取るべき行動は、最低利益ラインを数値で定義し、スプレッドシート等で自動判定する運用を初日から必須化することです。

2,訪問営業をやめた理由|オンライン営業に切り替えた結果

弊社では、約5年前から訪問営業を完全に廃止し、現在は100%オンライン(Zoom)で営業しています。弊社は、この判断により営業効率と売上に差が生まれたと判断しています。営業経験が少ない企業ほど、この差を見落としやすい傾向があります。
本章で示す数値は、すべて弊社が訪問営業を行っていた当時の移動時間、平均売上、平均受注率をもとに算出しています。

訪問営業で発生する「見えにくいコスト」

訪問営業では、移動時間と不確実性が常に発生します。

移動時間の実態(自社の当時前提)

内容時間
片道移動約1時間
往復約2時間
月20営業日40時間

訪問後に「担当者不在」となるケースも発生します。訪問営業の不確実性もコストとして認識してください。

移動にかかるコスト(弊社の当時前提)

前提条件は次のとおりです。

  •  交通費:往復 1,000円 / 日
  •  稼働日数月20日
  •  給与月300,000円
  •  月間労働時間160時間
  •  訪問・移動時間月40時間(※上記前提:往復2時間 × 20日)
項目金額
交通費(往復1,000円 × 20日)20,000円
人件費(給料30万円 ÷ 160時間 × 40時間)75,000円
合計約95,000円/月

「売上を生まない移動」に毎月約10万円が発生している状態を把握してください。

Zoom営業に切り替えると何が変わるか

移動時間40時間は、そのまま40件の商談時間に置き換え可能です。

成果の違い(想定の算出例)

前提条件は次のとおりです。

  • 追加で確保できる商談数:40件(移動40時間を商談に置換)
  • 受注率:60%
  • 1件あたり売上:200万円
内容数値
商談数40件
受注率60%
受注件数24件
1件あたり売上200万円
売上合計4,800万円

結論(訪問継続かオンライン切替で発生する差)

上記の前提を置くと、訪問営業を続けるかオンラインに切り替えるかで、次の差が生まれます。

  • 移動時間:40時間
  • コスト:約10万円/月(約95,000円/月)
  • 売上差:最大4,800万円(上記前提に基づく試算)

取るべき行動は、訪問営業に伴う移動時間と人件費を月次で数値化し、オンライン置換で増やせる商談数と粗利への影響を同一フォーマットで比較したうえで、標準営業手法をオンラインに統一することです。

3,営業を分業制にすること(THE MODEL型)

営業は分業制にした方が、組織が強くなります。自社が効果を感じたのは、営業分業制(THE MODEL型)の導入です。
本章でいう分業制は、テレアポ(アポ獲得)と営業(商談・クロージング)を分ける体制です。運用の結果、メリットが2つあると判断しています。

メリット①:テレアポと営業は求められるスキルが異なります

テレアポと営業は、同じ「営業」でも必要能力が異なります。

テレアポに求められるもの

  • 短時間で断られても折れない耐性
  • 数をこなす集中力
  • トークの再現性と改善力

営業(商談・提案)に求められるもの

  • ヒアリング力
  • 課題整理力
  • 信頼構築・提案力・クロージング力

両方の役割を高い水準で同時に担える人材を前提にすると、採用の難易度は一気に上がります。組織を拡大していくためには、一定の人数を確保することが不可欠です。役割を分けて採用することで、個人は強みを発揮しやすくなり、結果として組織全体の成果も最大化しやすくなります。

メリット②:分業にすると「言い訳」が成立しません

テレアポと営業を同時に担当すると、テレアポが後回しになりがちです。理由は、担当者が「営業(商談)」を優先しやすいからです。
現場では次の状況が発生します。

  • 「営業資料を準備していた」
  • 「商談があったので架電できなかった」

この体制では、架電数が10件程度に留まるケースが発生します。時間があったにもかかわらず、テレアポをしない理由が作りやすい状態になります。

分業制にすると、役割ごとに成果指標が明確になります。

  • テレアポ担当:架電数・アポ数
  • 営業担当:商談数・受注率
    成果が明確になることで、「やれていない理由」は言い訳になりにくくなります。
項目テレアポ担当営業担当
主な役割アポ獲得商談・提案・受注
必要なスキル数をこなす集中力・断られ耐性ヒアリング力・提案力
成果指標架電数・アポ数商談数・受注率
向いているタイプコツコツ型・改善思考対話型・課題解決型

営業を分業制(THE MODEL型)にすると、新人教育が単純になり、立ち上がりが早くなります。理由は、教える内容と修正点が役割ごとに明確になるからです。

役割教えること
テレアポ電話をかけてアポを取る
営業ヒアリングして提案する
役割今日のゴール
テレアポ○件架電
営業○件商談
役割見る数字
テレアポ架電数・アポ率
営業商談数・受注率

分業によって「未経験でも立ち上がりが早い」「教育時間が減る」「教える人による差が出にくい」状態を作れます。会社が取るべき行動は、立ち上げ時点で役割を分け、役割別KPI(架電数・アポ数/商談数・受注率)を初月から固定することです。

4,アプローチ前に、ターゲットを具体化する

ターゲット設定は、集客や営業トーク以前に、ビジネスモデルそのものを左右する重要な判断です。最初にやるべきことは、感覚ではなく、現時点のクライアントデータを正確に把握することです。

まず整理すべき現状データ

最低限、以下の項目は把握しておく必要があります

  • クライアントの業種(どの業種が多いか)
  • 従業員数の分布
  • 個人事業主/法人の割合
  • 過去のトラブル・苦戦した案件の傾向

これらを見ずにターゲットを決めると、次の設計がズレます。

  • 頭金を取るべきか
  • 後払いが可能か
  • 回収リスクをどこまで見るべきか

特に、従業員10名以下をターゲットにする場合、会社は債権保証等のサービス導入も含めて検討してください。回収できないケースが一定数発生する前提で設計してください。

5,【例】求人サービスの場合のターゲット設計

求人サービスは「誰でも必要」に見えますが、実際に売れる層は限定されます。

次の視点で整理してください。

① 従業員数から考える(最優先)

従業員数は、採用の本気度・決断スピード・改善余地に直結します。

従業員数状態売りやすさ
1~3名忙しいが後回し
4~9名人は欲しいが迷う
10~30名人不足が経営課題
30名以上仕組み・稟議あり

自社の判断では、求人サービスのベストゾーンは「従業員10〜30名」です。理由は、人が1人不足するだけで現場や売上に直結する規模だからです。

② 採用できないと「事業が止まる業種」か

業種特徴判断
建設・運送・介護・清掃欠員=売上減
飲食(多店舗)シフトが組めない
美容・治療院辞めた時だけ動く
IT・士業採用は後回し

人材欠員が即座に事業へ影響する業種は意思決定が早い傾向にあります。

そのため、ターゲット設計や営業活動において優先度を高く置きましょう。

③ 競合が狙いづらい層か(重要)

大手求人媒体が強い層は、価格比較と数の勝負になり、消耗戦になります。

大手求人媒体の強さ
地方の中小企業弱い
ニッチ職種・現場系弱い
採用ノウハウがない会社弱い
都市部・汎用職強い

求人を出したが成果につながらなかった層を、戦略上の有力なターゲットとして位置づけてください。

④ 採用に対する“今の温度”(タイミング)

同じ悩みでも「今かどうか」で結果が変わります。

状態行動
人が辞めた直後すぐ動く
現場が回っていない本気
そのうち考える動かない

困っている内容よりもタイミングを優先して判断してください。

⑤ ターゲット像を文章で固める(実務用)

上記を整理したうえで、次のように言語化してください。
「従業員10〜30名規模で、採用できないと現場が回らない業種。かつ、求人を出したが成果が出ていない会社。」
この一文が、営業トーク、集客、社内判断の軸になります。

まとめ:求人サービスのターゲット判断基準

判断ポイント見る理由
従業員10~30名本気度が高い
事業が止まる業種行動が早い
競合が弱い層勝ちやすい
今困っている成約しやすい

上記4つのうち3つ以上が当てはまる企業を優先して追ってください。取るべき行動は、既存顧客データを抽出し、従業員規模×業種×競合強度×温度感でスコアリングしたうえで、3/4以上一致のセグメントを一次ターゲットとして固定することです。

6,ターゲット理解で必ず見るべき視点(補足)

従業員数と事業フェーズ従業員数ごとの特徴

従業員数ごとの特徴

従業員数特徴注意点
1人(個人)決断は早い資金が不安定
2~5人話は早い後回しが起きやすい
6~10人拡大期キャッシュ不足が起きやすい
11人以上安定しやすい稟議・手続きが必要

事業フェーズ別の傾向

フェーズ状態行動傾向
立ち上げ期手探りすぐ動くが迷いやすい
成長期忙しい優先順位がブレやすい
安定期余裕あり慎重・検討が長い
停滞期不安変えたいが動けない

会社は、ターゲット設定を感覚ではなく構造で捉えてください。取るべき行動は、従業員数と事業フェーズをCRM項目として持ち、商談理由と失注理由をフェーズ別に集計して、次月のターゲット定義に反映することです。

7, 採用時に「確実に見ておいた方がいいポイント」

営業組織の立ち上げ期では、スキルや経歴よりも「行動や発言に出る価値観」を見てください。最初の営業メンバーは、その後の採用基準と空気感を作ります。以下は、自社で精度が高かった判断材料です。

① 生活スタイルに関する発言

観点合いやすい人合わない可能性が高い人
仕事との向き合い方会社の近くに引っ越す検討をする残業はどれくらいかを最初に確認する
初期の覚悟最初は仕事優先でやり切る定時で帰れるかを最初に確認する
時間意識時間を全く気にしていないプライベートを優先したいと言う

② 意思決定スピード(重要)

観点合いやすい人合わない人
判断話を聞いて即断する一度持ち帰って考える
行動一度やってみると言う家族と相談してからと言う
姿勢不明点を聞いて前向きに進めるもう少し情報を見てからと言う

立ち上げ期の初期メンバーには「即行動できるか」を優先してください。

③ 「働く理由」の話し方

観点合う人合わない人
モチベーション成果を出したい安定した会社で働きたい
スタンス環境を作る側になりたい長く続けられそうな環境が良い
挑戦意欲自分を試したい無理なく働きたい

安定を取りに来ているか、負荷を避けに来ているかを区別してください。

④ 行動量への耐性(泥臭さ)

状況合う人合わない人
断られる数を打つと判断する効率よくやりたいと言う
正解がない作っていくことを許容する無駄なことをしたくないと言う
数字が出ないまず動く失敗を避けたいと言う

効率を「量をやった人だけが語れる」前提で採用基準を置いてください。

⑤ 「最初の営業」に向いていない人の共通点

  • 条件面の質問が最初に来る
  • 楽なやり方を探す
  • 正解が用意されていないと動けない
  • 失敗を極端に避ける

このタイプを最初に採用すると、組織が守りに入ります。

⑥ 「最初の営業」に向いている人の特徴

  • 完璧でなくても動ける
  • 不安があっても踏み出せる
  • 文句より先に行動が出る
  • 「まずやります」と言える

初期段階では営業経験、とかではなくとりあえず行動する人を優先してください。

【補足】落とし穴は「経験者を最初に入れること」です

立ち上げ期でよくある失敗は「経験者なら何とかしてくれる」と期待することです。経験者は多くの場合、次の環境で成果を出しています。

  • 仕組みがある環境
  • 行動量が担保された組織

何もない状態では、効率ややり方の話が先に出て、最も必要な行動量が止まりやすくなります。「経験者が悪い」のではなく「最初に入れるとリスクが高い」点を前提にしてください。

まとめ(採用判断の軸)

見るべきポイント理由
生活・時間の考え方初期の覚悟が出ます。
意思決定スピード行動量に直結します。
働く理由フェーズ適合性が出ます。
泥臭さへの耐性立ち上げに必須です。

取るべき行動は、採用面接で上記4軸を質問テンプレート化し、評価を数値(例:各軸1〜5点)で残し、初期メンバーの合否を「価値観スコア」で決定することです。

8,営業組織で見るべきKPI一覧(網羅版)

営業は数字で分解できる仕事です。指標を決めないと、現場が感覚と根性論に戻ります。

① 入口〜成果までの基本KPI(必須)

フェーズKPI何が分かるか
入口アポ数機会量が足りているか
行動営業数(商談数)行動量が担保されているか
成果受注率営業の質・提案力
成果受注件数個人の結果
成果売上組織としての結果

最低限として上記KPIは定めてください。ただし、これだけだと「結果管理」止まりです。

② 利益・健全性を見るKPI(抜けがち)

KPI見る理由危険サイン
利益率無理な値引き防止売上はあるが利益が残らない
値引き率売り方の癖の把握受注=値引きになっている
追加受注率信頼関係の把握一発屋営業になっている

売上だけを追うと、組織が歪みます。

③ 品質・トラブル系KPI(重要)

KPI見る理由何が分かるか
クレーム率売りっぱなし防止無理な受注・説明不足
解約率長期満足度約束と実態のズレ
社内修正依頼数営業精度現場への負担

クレームを営業力の指標として扱ってください。「運が悪かった」を理由にしない運用にしてください。

④ 行動の質を見るKPI(伸びる営業はここが違います)

KPI見る理由
ヒアリング項目達成率聞くべきことを聞けているか
提案通過率提案がズレていないか
フォロー実施率詰めが甘くないか

行動量が同じでも、質KPIで差が出る前提で設計してください。

⑤ アポ担当(インサイド)専用KPI

KPI目的
架電数行動量
接続率リスト・時間帯の適合
アポ率トークの質
ドタキャン率アポ精度

インサイドに営業担当と同じKPIを持たせないでください。

⑥ 営業担当(商談)専用KPI

KPI何が分かるか
商談数行動量
受注率提案力
平均単価価値訴求
利益率経営目線
クレーム率誠実さ

⑦ 組織・育成系KPI(見ないと崩れます)

KPI何を見るか
KPI達成安定率再現性
数字のブレ幅メンタル耐性
教育参加率チーム意識
ナレッジ共有数属人化防止

個人が強くても組織が弱いパターンを防いでください。

⑧ 昇格・評価に使うKPI(感覚禁止)

観点KPI
行動商談数・安定性
成果受注率・利益率
品質クレーム率
再現性教育・共有実績
姿勢KPI未達時の改善行動

「売れているから昇格」を避けてください。

まとめ:最低限押さえるKPI設計図

カテゴリ見る目的
行動量動いているか
成果結果が出ているか
利益健全に売れているか
品質問題を作っていないか
再現性組織として強いか

KPIを多く持って構いません。見る人と役割ごとに絞って運用してください。取るべき行動は、上記KPIを「役割別ダッシュボード」として固定し、週次でレビューする会議体を立ち上げることです。

9,フリーランス営業に「安易に頼らない」

形を作る前に営業フリーランスへ頼ると、失敗するケースが多いと自社は判断しています。
フリーランス営業を検討する背景には、次が多い傾向があります。

  • 営業代行は高い(3ヶ月縛り・月額固定)
  • まずは小さく試したい
  • 経験者なら即戦力だと期待する(実績は自己申告になりやすい)
  • 会社は、この判断が失敗につながることがある点を前提にしてください。

フリーランス営業で起きがちなトラブル

問題実際に起きること
実績の過大表現言ったもの勝ちになりやすい
商材理解不足説明が浅くクレームが増える
利益を考えない受注はあるが利益が出ない
属人化再現性が残らない
稼働不足他社案件優先でインプットが少ない

営業は属人性が高く、「売れた理由」がブラックボックス化しやすい構造です。

特に危険なのは「ゼロから組織を作ってもらう」依頼です

フリーランスに次を依頼すると、失敗確率が上がります。

  • 営業のやり方を作ってほしい
  • 商材理解から任せたい
  • 組織づくりもお願いしたい

理由は次のとおりです。

  • 会社の思想・基準を理解しきれない
  • 教育・研修の責任範囲が曖昧になる
  • 成果が出なくても会社が修正できない

「一から組織を作る役割」を外注しないでください。

フリーランス営業を使ってよいタイミング

フリーランス営業を活かせるのは、次の条件が揃ったときです。

使うべきフェーズ状態
営業組織すでに形ができている
研修マニュアル・研修が整備済み
営業手法雛形が確立している
判断基準受注NGライン・利益基準が明確
KPI数字で管理できている

フリーランスは、「雛形通りに動いてもらう役割」として位置づけるのが基本です。

正しい使い方(NG/OK)

NGな使い方OKな使い方
やり方を考えてもらう決まった型を実行してもらう
商材理解から任せる研修後に稼働してもらう
組織づくりを期待する数の補完として活用する
売上だけを見る利益・クレームも管理する

取るべき行動は、社内で営業の型(手順・台本・KPI・利益基準)を確定させた後に、増員手段としてフリーランスを起用することです。外注は「代替」ではなく「増強」として運用してください。

10,事務作業を営業にやらせるべきではありません

営業組織を初めて作る会社は、営業に事務作業をやらせる失敗を起こしやすいです。
営業に向いている人の強みは、外に出る、人と話す、数を打つ、断られても動くことです。一方で、入力作業、書類整理、管理表更新、細かい確認作業は苦手になりやすく、モチベーションが下がりやすい傾向があります

営業に事務作業を任せると起きること

起きがちな問題実態
事務作業が後回し入力漏れ・抜けが発生する
営業活動が減る商談が減る
管理が曖昧数字が信用できなくなる
不満が溜まる「営業以外の仕事が多い」が増える

会社と営業が両方損をする構造になります。

よくある失敗例(稼働配分)

内訳例割合
営業活動(商談・架電)40%
事務作業(入力・資料整理)60%

この配分では成果が出ません。

時給観点でも非効率です

作業適任
商談・提案営業
入力・管理事務/AI
集計・報告事務/ツール

一番時給の高い人材に、一番安い仕事をさせないでください。

事務作業は「営業以外」に任せてください

推奨の役割分担

業務担当
顧客対応・商談営業
CRM入力・管理事務/AI
議事録・要約AI
数字集計・レポート事務

営業は営業に集中させてください。

管理職と一般営業は分けて考えてください

営業管理職は、管理・分析が仕事であり、事務作業が必要です。

立場事務作業への期待
一般営業最小限で良い
営業管理職必須
マネージャー管理・分析が仕事

一般営業に管理職と同じ事務量を求めると、組織が崩れます。

営業が「やらなくていい仕事」一覧

基本方針

営業の仕事は「売るための行動」だけです。それ以外は、事務・AI・管理側の仕事です。

① 入力・管理系(最優先で外す)

作業内容なぜ営業がやるべきでないか代替
CRMへの入力後回し・抜け漏れが多い事務/AI
商談履歴の整理時間を奪う事務
顧客情報の更新売上に直結しない事務
数字の転記ミスが起きやすい自動連携

② 資料・書類作成系

作業内容問題点代替
見積書作成テンプレ化できる事務
契約書準備法務・管理の仕事事務
提案資料の整形作業時間が長い事務/AI
書類のPDF化・送付単純作業事務

③ 集計・報告系

作業内容問題点代替
日報作成形骸化しやすい自動集計
月次レポート作業コストが高い事務
KPI集計営業ごとにブレる管理側
管理資料更新行動時間を奪う事務

④ 調整・連絡系

作業内容問題点代替
日程調整時間を取られる事務
リマインド連絡行動を止める自動化
社内確認商談に集中できない管理側
進捗共有チャットで十分管理側

⑤ クレーム初動・社内対応

作業内容問題点代替
クレーム一次対応感情対応で消耗専任
社内調整売上を生まない管理職
修正依頼対応商談時間が減る事務

営業は説明責任までに留め、処理・対応は別担当にしてください。

⑥ 営業が「やっていい仕事」

営業がやるべき仕事は次だけです。

  • 商談
  • 提案
  • ヒアリング
  • クロージング
  • フォロー(次の受注につながるもの)

よくある失敗パターン

状態結果
事務を兼任売上が伸びない
後から分ける不満が出る
できる人に任せる属人化する

会社が取るべき行動は、立ち上げ初月から「営業がやらない業務」を一覧化し、事務/AI/自動化の担当を割り当て、一般営業の事務稼働比率を上げない運用を制度として固定することです。

11,営業動画・音声は「最初から」保存前提にしてください

営業の録音・録画で問題なのは「途中から録音を始めること」ではありません。本当の問題は、録音文化がなかった組織で、後から「録音しよう」と言い出すことです。

営業が嫌がる理由

営業が嫌がるのは、相手に録音されることではありません。営業が嫌がるのは、自分たちの営業が今まで無防備だった事実を突きつけられることです。

録音を後出しすると起きること

状況実際に起きる反応
今まで録音なし営業が自由に話していた
途中から録音導入「監視される感覚」が出る
理由説明なし不信感が生まれる
任意運用録音されない会話が増える

営業が嫌がるのは「管理」ではなく「急なルール変更」です。

録音文化は最初からが前提です

導入方法結果
最初から録音前提当たり前として受け入れられる
後から追加反発・形骸化する
任意で導入重要な会話ほど残らない

文化は後から作れない前提で導入してください。

電話と録音は一体型で運用してください

録音を営業の判断に任せると、次が発生します。

運用結果
別機器で録音忘れる・録れない
手動で開始面倒でやらなくなる
自動録音すべて残る

「忘れていた」を仕組みで防いでください。

録音・録画が営業を守る場面

シーン効果
クレーム対応事実確認ができる
誇大トーク早期に是正できる
教育具体的に指導できる
引き継ぎ内容を正確に共有できる

録音は営業を縛るためではなく、営業を守るためです。

導入時に決めるべきルール

項目ルール例
録音・録画原則すべて自動
ON/OFF個人判断を禁止
保存先個人管理を禁止し共有管理
確認者管理職のみ

取るべき行動は、営業開始の初日から自動録音・自動保存を標準化し、ON/OFF禁止と保存先共有を運用規程として固定することです

12,商材を増やしすぎない

一般論として「最初は1商材に絞る」「商材が増えるほど教育コストが上がる」「説明が複雑になると売れない」「売れ筋がぼやける」「1つ売れない会社は増やしても売れない」は成立します。
自社が「商材を増やしたら危ない」と判断する最大理由は、営業が複数商材を同時に扱うほど器用ではない点です。これは能力の優劣ではなく、仕事の性質です。

営業は同時に多くの情報処理をしています

営業は、相手の話を聞き、反応を見て言葉を選びます。この状態で、商材Aの説明、商材Bとの違い、商材Cの条件が乗ると、説明品質と判断速度が落ちます。

商材が2つ・3つになると起きること

起きがちな現象実態
覚えきれない説明が浅くなる
得意・不得意が出るどれかしか売れない
判断が遅くなる提案がブレる
説明内容が変わる再現性が保てない

個人差が一気に大きくなり、組織としての再現性が崩れる前提で設計してください。

似た商材でも危険です(例:新築とリフォーム)

「関連性が近い商材なら大丈夫」は誤解になりやすいです。新築とリフォームは近い業務に見えますが、営業の思考回路が異なります。

項目新築リフォーム
提案軸夢・将来現実・課題
ヒアリング生活イメージ不満・不安
価格感大きい前提シビア
意思決定長期検討比較・即断

同じ営業に両方を任せると、両方が中途半端になります。

最適は「1本の幹+オプション」です

取るべき構成は、商材を増やすのではなく深くすることです。

OKな構成理由
メイン商材1つ思考がブレない
オプション追加説明が分岐しにくい
流れが共通再現性が保てる

オプションは「基本の分岐」であり、複雑になりにくい構造です。

1商材に絞った方が売れる理由

観点理由
教育教える内容が単純
営業迷わず提案できる
管理数字が読みやすい
改善勝ちパターンが蓄積する

「売れる→改善→さらに売れる」のループを回してください。

よくある失敗パターン

判断結果
売れないから増やすさらに売れなくなる
経験者だから複数任せる属人化する
個人裁量に任せる再現性がなくなる

取るべき行動は、商材を増やす前に「主力1商材を売り切る状態(説明・手順・KPI・勝ちパターン)」を作り、追加はオプション構造で拡張する方針を固定することです。

⑬ 顧客に「寄り添いすぎる」と売れません

営業面接で「お客さんのために、よくしてあげたい」と言う人は多いです。この発言は一見良い言葉ですが、営業としては危険です。
営業で最も避けるべき行動は、営業担当者が自分の判断で顧客の気持ちを決めつけることです。

危険なパターン(保険営業の例)

項目現在の契約提案中の内容
月額保険料10,000円15,000円
補償額500万円400万円

この条件だと、多くの営業は「補償が下がり金額が上がるので顧客に良くないかもしれない」と判断し、提案を止めます。
しかし実際には「保険内容」ではなく「担当者が嫌で変えたい」という理由で乗り換えたいケースもあります。営業が勝手に「顧客のため」を判断すると失注します。

危険なのは善意の決めつけです

営業の思考実際の問題
顧客のためにやめておく本音を聞けていない
これは勧めない方がいい顧客の判断を奪っている
無理に売りたくない提案機会を失う

寄り添いは「考えないこと」ではありません。

寄り添いすぎはクレームにつながります

状況問題
Aさんはここまでやってくれた個人対応が基準になる
前の担当は融通が利いたルールが守られない
今回は対応してもらえない不満・クレーム化する

個人裁量が増えるほど、引き継ぎ時に揉める前提で運用してください。

営業で分けるべき2つのライン

営業は感情ではなく線引きで動く仕事です。

分けるべき範囲考え方
協力できる範囲ルール・利益内で対応する
協力できない範囲数字・契約上NGとして扱う
判断基準感情ではなく仕組みで決める
説明選択肢を提示する

決めるのは営業ではなく顧客である前提で設計してください。

正しい寄り添い方

NGな寄り添いOKな寄り添い
勝手に判断する選択肢を提示する
断る前提で話す事実を説明する
感情で引く数字で整理する
特別対応をするルール内で対応する

売れる営業がやっていること

売れる営業は、判断しません。決めつけません。選択肢を並べます。
営業は次のように伝えます。
「この条件なら、こうなります。この点を理解した上で、どうされますか。」
営業は、判断を顧客に返します。

会社が取るべき行動は、「対応可能範囲(利益・契約・運用)」と「対応不可範囲(数値・契約NG)」を文書化し、営業が必ず選択肢提示で進めるトーク型をテンプレート化することです。

総括:営業組織づくりは「判断基準」を先に確定してください

営業組織づくりで問題になりやすいのは、個々のスキルではありません。問題になりやすいのは、判断基準が整理されないまま、人と仕組みを増やす点です。
価格、手法、役割、ターゲットは相互に影響します。どれかが曖昧だと、その歪みは後から数字や現場負荷として表れます。ちなみに弊社では、立ち上げ当初にさまざまなプランや手法を試しすぎた結果、
事務作業が膨大になり、管理が非常に大変になった経験があります。

本稿で挙げた内容は全体の一部ですが、少なくとも整理せずに進めると修正コストが高くなる論点です。

取るべき行動は、次を立ち上げ前に「文書化して固定」することです。

  • 最低利益ラインと値引き可否の自動判定(仕組み化)
  • 標準営業手法(訪問/オンライン)と稼働時間の数値基準
  • 分業設計(インサイド/商談)と役割別KPI
  • ターゲット定義(データ基盤+文章化)
  • 採用基準(価値観評価のテンプレート化)
  • KPIダッシュボード(利益・品質・再現性まで含む)
  • 外注の使用条件(型が完成してから増強として使う)
  • 営業と事務の業務分担(営業は売る行動に集中)
  • 自動録音・保存の運用規程(最初から前提)
  • 商材設計(主力1本+オプション)
  • 寄り添いの線引き(選択肢提示とルール内対応の徹底)

以上を初月から運用基準として固定してください。

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この記事を書いた人

セールスリンクは、法人向けアウトバウンド営業・インサイドセールスに特化し、営業をデータと再現性で設計する営業支援会社です。数十万件の架電データと数千件規模の実績をもとに、成果が出る営業の型を構築。本メディアでは、ロジカルで実践的な情報を発信しています。

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