営業社員の離職率が5%に激減。営業代行を1年使ってわかった「辞めない理由」

営業組織の離職問題は「人の問題」ではなく「構造の問題」だった

今回、弊社のクライアントであるSaaS企業A社の営業部長にインタビューする機会をいただきました。A社は営業代行の導入から1年以内に、新人離職率50%という深刻な状況を解消し、営業社員の離職率5%を実現した企業です。本記事はそのインタビュー内容をもとに、具体的な数字とエピソードを交えながら紹介します。

SaaS企業の営業部長が直面する課題のなかで、「離職率の高さ」は最も根深い問題のひとつです。採用してもすぐ辞める、育てても辞める、残った社員に負担が集中してまた辞める。この悪循環を「採用力の問題」や「人材の質の問題」として捉えている組織は少なくありません。

しかし実際には、離職の原因は「人」ではなく「構造」にあります。A社の事例をもとに、離職率が高くなる営業組織の構造的問題と、その解決策を具体的に解説します。


目次

A社の概要と導入前の状況

A社は従業員50名以上規模のSaaS企業で、営業組織は10名前後で構成されていました。インサイドセールスとフィールドセールスを明確に分業する体制は整っておらず、営業マン一人ひとりがリスト作成・テレアポ・商談のすべてを兼務する形で営業活動を行っていました。

導入前のA社が抱えていた課題は以下の3点です。

課題1:新人の早期離職が止まらない

入社から3ヶ月以内に離職する新人の割合は、約50%に達していました。10名採用すれば5名が3ヶ月以内に辞める計算です。採用活動は中途採用が中心で、媒体費用とエージェント費用を合わせると年間800万円近い採用コストが発生していました。それだけのコストをかけても、採用した人材の半数が短期間で離職してしまう状況が続いていました。

課題2:採用コストと教育コストの二重負担

採用コストに加えて、教育コストも無視できません。新人を戦力化するまでには一定の教育期間が必要です。しかし3ヶ月以内に離職されてしまうと、その教育投資はすべて無駄になります。さらに、離職のたびに残存メンバーへの業務負荷が増え、モチベーション低下から連鎖的な離職が起きるリスクも高まります。

課題3:社内の雰囲気の悪化

人が辞め続ける組織では、残っている社員の心理的安全性も損なわれます。「自分もいつか辞めることになるかもしれない」という閉塞感が漂い、チームとしての一体感が生まれにくくなります。A社でもこうした雰囲気の悪化が慢性的な課題となっていました。


なぜ営業マンは辞めるのか?構造的な問題の正体

A社の離職問題を深掘りすると、根本原因は明確でした。営業マンに「成果が出ない状態」が長期間続いていたことです。

テレアポ・リスト作成・商談をすべて一人で兼務する体制では、新人が商談数を確保することは構造的に困難です。テレアポは1件のアポイント獲得に何十件もの架電が必要であり、架電するためのリスト作成にも相応の時間がかかります。結果として、商談機会そのものが少なくなり、成果が出ないまま時間だけが経過します。

成果が出なければ数字の達成感が得られません。達成感がなければ仕事のやりがいを見出すことが難しくなります。やりがいを失った新人は、3ヶ月という短い期間のなかで「この仕事は自分に向いていない」という結論を出して離職します。

この構造を整理すると以下のようになります。

この悪循環において、問題は「新人の能力」ではありません。新人が成果を出せる環境が整っていないことが問題です。どれだけ優秀な人材を採用しても、この構造が変わらない限り離職は繰り返されます。


セールスリンクが担当した領域

A社はこの構造的問題を解決するために、株式会社セールスリンクに営業代行を依頼しました。セールスリンクが担当したのは以下の3領域です。

1. 営業戦略の策定

どのターゲットにどのアプローチをするか、受注までの全体戦略をセールスリンク側が設計しました。これまでA社の社内で属人的に行われていた「どこに売るか」の判断を、データと実績に基づいて体系化しました。

2. リスト作成

架電対象となる企業リストの収集・整理・優先順位付けをセールスリンクが担当しました。これにより、営業マンがリスト作成に時間を使う必要がなくなりました。

3. テレアポ(インサイドセールス)

アポイント獲得のための架電業務を全面的に代行しました。セールスリンクのアポインターが架電し、商談設定まで完結させます。

これらの業務をセールスリンクが担うことで、A社の社内営業マンはフィールドセールス(商談・クロージング)のみに集中できる体制が整いました。


導入前に抱えていた2つの懸念

A社が営業代行の導入を検討した際、担当者には明確な懸念が2つありました。

懸念①:そもそもアポが入るのか

A社の社内でも、アポが取れる営業マンと取れない営業マンの差は大きかった状態でした。「社内でもばらつきがあるのに、外部に任せてアポが入るのか」という疑問は、導入前の率直な不安でした。

懸念②:アポが入っても受注につながらないのではないか

受注率についても同様の懸念がありました。社内の受注率が営業マンによってばらばらな状況で、外部が獲得したアポが受注に結びつくかどうか、確信が持てませんでした。

この2つの懸念が払拭されたのは、セールスリンクから共有された2種類の資料を見たときでした。

懸念①が消えた瞬間:ABテストのデータシート

セールスリンクから架電後のデータ分析シートを共有してもらいました。そこに記録されていたのは、トークの分岐点ごとに設計されたABテストの結果でした。

受付突破・担当者への導入・ヒアリング・提案といった各フェーズで、Aパターンのトークを使った場合の成功率とBパターンのトークを使った場合の成功率が、それぞれ数値で記録されていました。

「ここまで細かくデータを取って進めたことがなかった。今までは営業マンの属人的な方法だったので、これは結果が出ると思った」A社担当者はこう振り返ります。

勘や経験ではなく、データに基づいてトークを継続的に改善する設計があることが、懸念を払拭する決め手になりました。

懸念②が消えた瞬間:アポ報告の情報量

受注率への懸念が解消されたのは、セールスリンクのアポ報告フォーマットを見たときでした。

導入前、A社担当者がイメージしていたアポ報告は以下のような内容でした。

担当者:〇〇様 / 商品に興味をお持ちで、まずは話を聞きたいとのことです。

しかし実際に届いた報告は、まったく異なる情報量でした。以下はセールスリンクが実際に使用しているアポ報告フォーマットのサンプルです。


■ 商談前 電話ヒアリング記録

【サービス内容】 商材・サービス概要 / 主なターゲット(業種・職種・規模)/ 客単価・契約形態

【営業代行の利用経験】 過去の利用経験の有無 / 経験がある場合:過去の状況・課題・終了理由 / 経験がない場合:検討のきっかけ

【現在の営業状況】 営業人数 / IS体制の有無 / 月間アポ数(現状)/ 現状の課題 / 代行に期待すること

【費用感に関する温度感】 予算感 / 価格への反応・コメント / 稟議の必要性

【決裁者の同席 / 商談前架電の許可】 決裁者の商談同席可否 / 決裁者の役職・氏名 / 商談前架電の可否と連絡先

【申し送り・備考】 当日の商談設計に向けた情報・注意点の引き継ぎ


アポイントを取るだけでなく、商談前に顧客の課題・予算感・決裁構造・過去の失敗体験まで把握した上で商談を設計できる情報が揃っている状態でした。

「ここまで聞いてくれているとは思っていなかった」A社担当者がこう述べたように、このアポ報告の質が受注率への懸念を払拭しました。フィールドセールスは商談当日に顧客理解からスタートするのではなく、すでに深いヒアリング情報を持った状態で商談に臨めます。これが若手の受注率を10%から30%超に引き上げた、構造的な理由のひとつです。


導入後に起きた変化「数字で見る成果」

セールスリンク導入後、A社の営業組織には明確な変化が生まれました。

商談数の変化

導入前導入後変化
1人あたり月間商談数3〜8件大幅増
チーム全体の月間商談数約50件約120件約2.4倍

テレアポとリスト作成をセールスリンクが担ったことで、社内営業マンは商談のみに集中できる体制になりました。その結果、チーム全体の月間商談数は50件から120件へと約2.4倍に増加しました。1人あたりに換算しても、稼働時間の大半が商談に充てられるようになり、生産性が大きく向上しています。

受注率の変化

営業担当者導入前導入後変化
ハイプレイヤーの受注率約40%約40%維持
若手の受注率約10%30%超3倍以上
チーム平均受注率ハイプレイヤー頼み約40%全体底上げ

導入前は受注率がハイプレイヤーに偏っており、若手との格差が大きい状態でした。導入後、若手の受注率は10%から30%超へと3倍以上に改善し、チーム平均が40%前後まで底上げされました。商談数の安定供給による経験値の積み上げと、詳細なアポ報告情報による商談準備の質向上が、この改善をもたらしています。

採用コストへの影響

項目導入前導入後(見込み)削減幅
年間採用コスト約800万円約270万円▲約530万円

離職率が5%になったことで、採用活動そのものの必要性が大幅に下がりました。年間800万円近くかかっていた採用コスト(媒体費+エージェント費)は、今後約270万円程度まで削減できる見込みです。営業代行の費用を差し引いても、採用コスト削減だけで年間500万円以上のプラスが生まれる計算になります。

離職率5%を実現した本当の理由

数字の変化はわかりやすい成果ですが、離職率5%を実現した本質的な理由は「数字が出るようになったこと」だけではありません。営業マンの仕事に対する認識そのものが変わったことが、大きな要因です。

「毎日商談が埋まっている」という安心感

テレアポとリスト作成をセールスリンクが担うことで、A社の営業マンは毎日商談が設定された状態で出社できるようになりました。

「アポを入れなければいけない」というプレッシャーは、営業マンにとって大きな心理的ストレスです。架電してもつながらない、断られ続けるという経験は精神的な消耗につながります。このストレスが解消されたことで、営業マンは商談準備と提案の質向上に集中できるようになりました。

「業界知識よりも提案力が重要」という気づき

導入前のA社では、「業界知識がなければアポは取れない」という認識が営業マンの間に広まっていました。新人が業界知識を習得するには時間がかかります。そのため「自分はまだアポを取れるレベルにない」という心理的ハードルが、新人の早期離職の一因になっていました。

しかし実際には、顧客が商談で求めているのは業界知識の深さではありませんでした。顧客が知りたいのは「自社の課題をどう解決できるか」という具体的な提案です。フィールドセールスに集中できる環境が整ったことで、新人は商談経験を積み重ね、提案力を早期に磨くことができるようになりました。

「新人でも成果が出せる」体制の確立

商談数が安定的に供給されることで、新人が商談経験を積む機会が増えました。経験を積むほど提案の精度が上がり、受注率も向上します。この成功体験が積み重なることで、「自分はこの仕事に向いていない」という早期の離職判断が起きにくくなりました。

また、マネージャーにとっても教育がしやすい環境になりました。「テレアポの指導」と「商談の指導」を同時に行う必要がなくなり、フィールドセールスの育成に集中できるようになったためです。教育の焦点が絞られることで、新人の成長速度も上がりました。


半年〜1年という時間軸で考える

離職率5%という結果は、導入直後に実現したわけではありません。セールスリンクの導入から半年〜1年という時間軸の中で、段階的に組織が変化していきました。

最初の数ヶ月は、セールスリンクとA社の間で営業戦略の摺り合わせやトークスクリプトの改善が繰り返されます。アポイントの質を高め、A社の営業マンが商談しやすい状態を作るための調整期間です。

この調整が進むにつれて商談数が安定し、受注率も上昇します。成果が出始めると、営業マンのモチベーションが上がり、組織全体の雰囲気が変わります。組織の雰囲気が良くなると、離職の動機そのものがなくなっていきます。

営業代行の導入を「即効性のある施策」として捉えると、この時間軸の認識にズレが生じます。正確には「組織の構造を変える施策」であり、その効果が定着するまでに半年〜1年の期間が必要です。


営業代行導入で変わること・変わらないこと

A社の事例から学べる重要な示唆として、「営業代行で変わること」と「変わらないこと」を整理しておきます。

変わること

  • テレアポ・リスト作成の負担がなくなる
  • 商談数が安定的に確保される
  • 新人が成果を出せるまでの期間が短縮される
  • 採用・教育コストが削減される
  • 組織全体の雰囲気が改善される

変わらないこと(社内でやり続ける必要があること)

  • 商談での提案力・クロージング力
  • 顧客との関係構築
  • 受注後のカスタマーサクセス
  • 商品・サービスの改善

営業代行は「営業のすべてを外注する」サービスではありません。「営業プロセスの中で外部に任せた方が効率的な部分を切り出す」サービスです。何を外に出して、何を社内に残すかを明確に設計することが、導入成功の前提条件です。


まとめ:離職率の高さは採用問題ではなく設計問題

A社の事例を通じて明らかになったことは、営業組織の離職率の高さは「採用する人材の問題」ではなく「営業プロセスの設計問題」だということです。

テレアポ・リスト作成・商談をすべて一人で兼務させる構造では、新人が成果を出すことは構造的に難しい状態です。成果が出なければ離職します。離職すればまた採用コストと教育コストが発生します。この悪循環を断ち切るためには、採用基準を上げることでも、採用人数を増やすことでもなく、営業プロセスの構造を変えることが必要です。

セールスリンクへの営業代行依頼は、A社にとってその「構造を変える」手段でした。結果として、年間800万円近い採用コストが約270万円まで削減される見込みとなり、若手の受注率は3倍以上に改善し、営業社員の離職率は5%になりました。

営業組織の離職に悩む営業部長の方は、まず「なぜ辞めるのか」の原因を構造的に分析することを推奨します。その原因が「営業プロセスの設計」にあるならば、営業代行という選択肢は有効な解決策になります。


セールスリンクへの相談・お問い合わせ

株式会社セールスリンクは、インサイドセールス・アウトバウンド営業代行を専門とするB2B営業支援会社です。戦略策定からリスト作成・テレアポまでを一貫して担い、クライアント企業のフィールドセールスが商談に集中できる体制を構築します。

「営業プロセスのどこを外出しすべきか」「自社の状況に営業代行は合うか」こうした疑問をお持ちの営業責任者の方は、まずは無料相談からご活用ください。現状の営業体制をヒアリングした上で、導入の可否も含めて率直にお伝えします。

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この記事を書いた人

セールスリンクは、法人向けアウトバウンド営業・インサイドセールスに特化し、営業をデータと再現性で設計する営業支援会社です。数十万件の架電データと数千件規模の実績をもとに、成果が出る営業の型を構築。本メディアでは、ロジカルで実践的な情報を発信しています。

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